2006年04月29日

教会にて


いつもなら日曜の朝に教会にミサへ行くのですが、今日の午後に祐川さんがピンチヒッターでキダパワンで一番大きな教会でミサをするということになり、僕らも一緒に行ってきました。

そこの教会は、いつも行っているところより数倍広くて、今まで見てきた教会よりも数段ランクが上のような気がしました。それもそのはずで、この教会はここのエリアでトップの方がミサをされるところなのだそう。

祐川さんは余り大きいところは好きじゃないと言っていましたが、それでも無難にこなしていました。僕らはちょっと離れたところに座って、そのお話を聞いていました。まあ、僕はキリスト教徒ではない上に、ビサヤ語で話されているのでちっとも内容や段取りを理解していないのですが(苦笑)。

式も途中だったでしょうか、物乞いの少年がいきなり僕の前に現れました。一緒にきた他のメンバーには目もくれず、じっと僕だけを見ています。少年の容貌はぼろぼろのTシャツに、短パン。そして、ろくにシャワーも浴びれないのでしょうか、汗と泥で汚れた体。髪の毛に至っては円形脱毛症なのでしょうか、10円玉ほどの禿げた部分が見られました。

日本では子供の物乞いは余り経験しませんが、フィリピンでは珍しくありません。ですが、教会で物乞いの少年に会ったのは初めてだったので、少し面食らってしまいました。以前の訪問時に、ファーストフード店に行った時、物乞いの子供たちで溢れていたのが印象に残っているのですが、この教会は広くてお金を集めやすいからなのでしょうか、またフィリピンの現状を突き付けられた気分でした。

酷いかもしれませんが、僕はお金を渡すつもりもありませんでした(それ以前に財布を持ってきていませんでした)。しかし、万が一お金を渡したとしてもそれは彼の元に入らず、胴元に渡ってしまうかもしれません。そして、それを改善、救済できるほどの余裕のない政府。悲しいかな、それがこの国の現状なのです。

僕はあの少年が今の環境から抜け出すことは容易くないだろうと思っていますが、ただ『物乞い』、さらに年が進めば『万引き』などという手段で世の中で生きていけるという考えを持って欲しくないと思いました。

終わったあと、ケニスが僕にささやきました。多分、「あれは物乞いの少年だよ」ということを教えたかったのでしょう。イースタービレッジの子供たちは今の現状を、そして彼らのことをどう思っているのでしょうか。今は確かに毎日おいしい物を食べられて、きれいな洋服を着て、シャワーも浴びて、学校も行ける、不自由ない生活。もちろん、以前の環境に戻れなんて言いません。ただ、彼らを見て彼らの気持ち、環境を考えられる大人になって欲しいなと思ったのでした。



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